富山大学寄附講座活動報告

富山大学寄附講座の活動を随時報告していきます。
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富山大学寄附講座 活動報告   Vol.1


第1回 柔道整復国際シンポジウム

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開催日:平成24年4月4日(水)
会  場:日本柔整会館
シンポジスト:
ベトナム保健省専門医官   
                                     Dr. Tran Ngoc Nghi
ウランバートル健康科学大学伝統医学部研究員   
                                     Dr. Nyamdavaa Enkhjargal
富山大学教授  西条寿夫
公益社団法人日本柔道整復師会
学術部理事  高崎光雄
国際部部員  本間琢英・根來信也

   「Current situation and future status of traditional medicine in Mongolia  (モンゴル伝統医学の現状と将来)」との演題にてウランバートル健康科学大学伝統医学部Dr. Nyamdavaa Enkhjargal氏に講演いただきました。
 モンゴル伝統医学は古代のインド医学やチベット医学を基礎として発祥し2500年の歴史を有しています。地政的、歴史的背景から中国医学の影響を受けながらも、伝統的なモンゴル経験医学へ発展し今日に至っていることやモンゴル人にとってモンゴル伝統医学はモンゴル民族の誇るべき文化遺産の一つになっている点などについて講演をいただきました。モンゴル伝統医学を語る上で特筆すべくは、1737年より社会主義体制となった当時の政府により伝統医学が禁止され、西洋医学、特に当時のソビエト連邦からの医学のみを認める政策により徹底的に弾圧され一時、モンゴル伝統医学が消滅した歴史がありましたが、モンゴル国民からの強いモンゴル伝統医学復活の要望により、1959年から伝統医学に関する研究活動が認められ、特に1989年からはモンゴル国の学の中枢である国立ウランバートル健康科学大学に伝統医学講座が設立され、東ドイツを中心に東欧へ留学生を多く輩出し人材の育成に努めた歴史があります。
 現在は国立ウランバートル健康科学大学付属伝統医学大学となり、教育研究機関は伝統医学部6年制、大学院博士課程4年制、修士課程2年制が設置されモンゴル国伝統医学の教育と研究の中枢機関として活動しているとの紹介がありました。
   今日のモンゴル伝統医学は前記伝統医学大学に付属病院が併設され、伝統医学がモンゴル医学の一翼を西洋医学と共に担い、互いの特性を生かしながらモンゴル国人のため発展している状況であるとの報告を受けました。最後にJICAにより柔道整復が紹介された後、外傷に対する救急処置に対する考え方がモンゴルに新たに導入され大きな成果を上げていることへのお礼にて終了いたしました。
           
【酒井重数】