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日本柔道整復師会とは 会長あいさつ
 

新年明けましておめでとうございます。会員の皆様には恙なく新春をお迎えのことと謹んでお慶び申し上げます。

さて、今年の干支は十二支の中では締めを飾る「亥」年ということで、「これまで取り組んできたことに結果を出す年」とも言われています。昨年4月に医師会との連携のもと、関係各位のご協力を得て数十年ぶりに本格的な「教育改革」「制度改革」の決定にまで漕ぎ着け、国の社会保障に明確な方向性を示すことができました。そして、今年はこの業界改革に「結果」を出す年として、正に“持って来い”の年廻りと言えます。

また、今年4月末日に今上天皇の譲位により、5月には新天皇陛下の即位と共に新たな元号となります。振り返れば、我が柔道整復業界は “明治”の近代化の流れによって日本の伝統医療として一度姿を消しかけましたが、地域住民による絶大なる支持運動により“大正”9年に復活を遂げてから今年はちょうど100周年の記念の年となります。そして、“昭和”での戦争、戦後の急激な経済成長などの激動期を過ぎ、金融や経済が低迷した“平成”時代に於いては、「経済再生、デフレ脱却」の名の下、財政健全化として、国は本当に必要な「国民の健康」に関する部分を削り、民間では規則を破ってでも利益を追求する経済至上主義者による個人主義、利己優先主義の濁流が渦巻き、そうした中で国は規制を緩め、医療までを「利益」で考える医療産業化への動きが加速し、我が業界もその濁流に呑まれ右往左往してきたように思います。

さらに最近では、ITからICT、IOTといったデジタル情報化とその技術の急激な進歩は、地域社会の人達の直接的な繋がりを分断し、その代わりに便利な機械やインターネットという便利な共通情報流通のプラットフォームを定着させています。そこはネット上でやりとりされる全ての「情報(ビッグ・データ)」を元に、個人の思考や嗜好をも予測し対応する「AI(人工知能)」による管理体制が確立されつつあります。

 様々なデータが地域や国家の壁を瞬時に越えて、その流通過程で必要であった様々な「地域性」や「文化」そして「繋がり」さえもが大きく変化し始めています。便利になること自体は望ましいことであり、多くの人達はデジタル化の進歩を「豊かになった」と感じているのも事実です。こうしたデジタル化の流れはもはや生活の隅々まで行き渡り、社会全体に関わる仕組みが大きく変化していることは間違い有りません。

 しかし、人間は他者との繋がりの中で生きていく社会性の動物です。例え、便利なツールがどれだけ増えて、自宅に居ながら買い物やコミュニケーションできる環境が確立され、生活する上で必要な様々なインフラ等にも大きな変化が起こったとしても、最終的な人と人との「触れ合い」の部分をそれだけで満たせるとは私は思いません。まして、健康に関しては尚更です。

こうしたデジタル化の大きな変化に対し、我々は患者さん一人ひとりの別々の症状とそれぞれのニーズに“丁寧”“心に触れる施術”を行う柔道整復術を貫くことで、社会保障と対立する医療の産業化に対峙していかなければならないと考えています。

情報化やデジタル化、グローバル化の流れは、否応なしにこれまで我々自身の回りにあった様々な考え方や組織のあり方、地域社会の連携さえをも変化させていく大きな潮流となってくことでしょう。そうなれば、当然ながら「個人の生活」だけではなく「国の制度」までもがこれまでとはまったく異なるものに変化せざるを得ないことになります。我が国が世界に誇る「国民皆保険制度」でさえ、今後は混合診療のあり方や海外からの民間保険の導入など、さらなる黒船来航さえもが予測できます。

とはいえ、まだ起こってもいない未来にただ怖れるのではなく、柔整業界は守勢にならず“攻めて守らず”の前向きな精神を持って、今後現実的に起こり得ることを積極的に予測し、十分な時間をかけて慎重に段取りを進め、喫緊の課題となっている「電子請求」への対応を進めて参りたいと思っています。

最後に、これから迎える新たな元号と新たな時代に於いても、地域住民のために、日本古来の伝統医療を継承する柔道整復師とその国家資格を代表する唯一の団体として、日整はこれからもたとえ一歩でも前へ進み「利他専心」の志で邁進して参ります。 今後とも皆様のご理解ご協力を宜しくお願い申し上げます。