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【千葉県】全国公益活動開催報告 県民公開講演会開催【平成30年2月11日開催】 
2018年03月27日
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県民公開講演会開催


 平成30年2月11日(日・祝日)本会主催の公益事業である県民公開講演会が千葉駅近くの京葉銀行文化プラザにおいて開催され、定員400名の席がほぼ満席になるほどで、一般市民の健康情報への関心の高さが伺われた。
講 演 「ケトン体を知って健康に生きる」 
講 師  宗田マタニティクリニック 院長 宗田哲男 先生
 宗田先生は、日々接している胎児や赤ちゃんのエネルギ−源が主にケトン体(アセトン、アセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸という3つの物質の総称で、ブドウ糖がなくなると脂肪を燃焼してエネルギ−に換える物質)であることを2012年に発見。翌年、「胎児・新生児のケトン体研究1」を糖尿病妊婦学会で発表した。
「人体に必要なエネルギ−源には、ブドウ糖とケトン体があります。ケトン体はこれまで、“人体を酸化させる、代謝における危険な副産物“として悪者扱いされてきましたが、実は糖尿病治療にも有効な、重要な物質なのです。
 昨年6月、尿に大量に糖を排泄することで血糖値を効率よく下げることができ、ケトン体を増加させるという、糖尿病治療の新薬の臨床試験結果がアメリカ糖尿病学会で発表されたので、今までの誤った認識も一気に覆されるはずですよ」
「そもそもケトン体というのは、ハイブリッド車がガソリンと電気をエネルギ−とする2系統の動力回路を持っているように、人が持つエネルギ−源の一つなんです。もう1つがご存知の通りブドウ糖。これまで、ケトン体はブドウ糖の陰に隠れてあまり知られていませんでした。
 糖質の場合、体内に入るとブドウ糖の集合体であるグリコ−ゲンとして蓄えられますが、グリコ−ゲンは12時間で枯渇するという特性があるため蓄積量に限界があり、インスリンが作用し、脂肪に変えて体に貯めおきます。
 一方、脂肪酸とアミノ酸の代謝産物であるケトン体は、体内の脂肪が分解されることによって肝臓で作り出され、血液中に放出される物質。分りやすく言えば、脂肪を燃やして作り出されるエネルギ−源がケトン体なんです。
 これまで、人の主なエネルギ−源はブドウ糖であり、ケトン体はそのブドウ糖が枯渇した、つまり飢餓のときに働くサブのエネルギ−源だと考えられてきた。ところが実は両者の役割はまるっきり反対なのです。
「700万年前に人類が誕生した当時は狩猟・採取が中心の低糖質・高タンパクの食事でしたが、1万年前に農耕が始まり穀物(炭水化物)が手に入るようになってからは、糖質をエネルギ−の主体として利用するようになりました。言い換えれば、人類が誕生してから99.9%の時間は精製した糖をほとんど取らずに生きてきたのです。
本来、人の体は糖をたくさん取ることに対応できていないため、体に負担がかかりすぎて、様々なトラブルが生じます。その代表例が、糖尿病です」
 糖尿病は、過食や運動不足などによってインスリンの分泌が弱まり、血液中のブドウ糖が有効に使われずに、高血糖に陥ることで発症する。時には失明や動脈硬化などの恐ろしい合併症を引き起こすことで知られており、一度発症すれば一生付き合っていかなければならない病でもあるのだ。
 私自身、60代で糖尿病を発症しましたが、“決められた摂取カロリ−以内の食生活に切り替え、運動し、血糖値を下げるインスリンを投与する”という従来の治療法に納得がいきませんでした。
そんなとき出合ったのが、日本で糖質制限を始めた第一人者、釜地豊秋先生の「糖質ゼロの食事術」です。“糖質を取らなければ血糖値は上がらず、糖尿病にならない”という考えに影響を受けた私は、糖質制限を実践しました。
すると半年後には15キロの減量に成功、血糖値をはじめとする数値も標準に戻った。
「実は日本の糖尿病学会は、糖尿病治療における糖質制限を長らく批判してきたのです。血糖値を上げる糖の元である穀物(炭水化物)の摂取をやめれば、あるいは少なくすれば、血糖値が下がるのは自明なのです」
 ところが最近では、糖尿病を専門分野とする医師のための専門誌「プラクティス」でケトン体についての特集が組まれ「ケトン体は効率のいいエネルギ−基質であり、多面的な採用を持つ機能分子であることが明らかになってきた」と述べるなど、その認識にも変化が見られるという。
「糖質制限で糖が枯渇した後に生み出されるケトン体について、医療専門誌で言及されたことは非常に意味があると思う」さらに、ケトン体に対する認識の変化は医学会の最高権威においても認められ始めている。
 各科の疾患に対する最新の治療法を執筆した治療年鑑である「今日の治療指針」でも、糖尿病の食事指導について、2014年版からカロリ−制限食に加えて、糖質制限食が併記されている。
「長期間で極端な糖質制限」を例外として、日本の医学会が糖質制限に歩み寄っているのは事実のようだ。
 また「ケトン体を使う体質(ケトン体質)になることは、ダイエットや糖尿病だけに効果があるのでは有りません。ガンの予防や認知症、てんかんの改善にも効果が期待できます。
ガンは糖を栄養として増殖します、ミトコンドリアを持たないがん細胞がケトン体を使うことができないのはすでに証明されています。ガンを予防し、増殖させないためには糖質制限が有効なのです。
 また、ケトン体は脳の重要な栄養素です。シナプスに大量に集積しているミトコンドリアに直接作用してエネルギ−基質になることから、ケトン体がシナプスの機能低下を解決できる可能性があります。ケトン体を増やせば、神経細胞のエネルギ−不足も解消され、認知症やてんかんの症状を改善できると考えられています」
糖質制限を行ってケトン体質に改善していくことについては、サッカ−日本代表の長友祐都が実践していることでも知られています。
そして、糖質制限を行ううえで重要なのは“糖質を制限してもカロリ−は制限しない”ということです。ご飯の量を減らした、らその分のカロリ−を別にとる必要があります。ご飯やパン等の主食を抜いて、おかずをたっぷり取るというイメ−ジです。これを意識せずに脂肪やコレステロ−ルは悪いものという思い込みによって油などを避けてしまうと、栄養が足りなくなって体がボロボロになってしまうので注意が必要です。疾患の性格によっては、糖質制限に理解のある医師に相談することも必要でしょう。
いずれの場合であっても、肉や魚、卵、大豆などのたんぱく質をしっかりとることです。脂質もケトン体の元となるため欠かせませんので、油を使用したステ−キや焼肉等も十分に楽しんでもらって大丈夫です。
 糖質制限は、人類が農耕を始めてから実に1万年ぶりの「体内エネルギ−源」の大改革とも言えるのではないだろうか。それで有れば実社会のエネルギ−事情と同じく、適切な“エネルギ−・ポ−トフォリオ”を見つけていく必要があるだろう。
          (広報員 渡辺勇)








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